1号機『風神』を修理したいので、その間に使う為、オークションで購入しておいた三味線から状態が良いものを改造して2号機製作します。
糸巻き
自作で『ゆるまない糸巻き』の加工をします。材料は『モノタロウ』などで入手可能なものばかり!
まずは糸巻き先端にネジを埋め込みます。
穴をあけるため、ボール盤でもできますが、折角なので自作の『糸巻き専用旋盤』の登場です。
①センター出し
②下穴加工
③タッピング M3でいいですが、2番めの糸巻きは回転が逆なので、そこだけM4の逆ネジにしています。
④『六角穴付き止めネジ』を埋め込みます。緩み防止で穴に瞬間接着剤などを先に入れてからねじ込みます。
⑤糸を通す穴位置が気に入らないので元の穴は瞬間接着剤で埋めて、新しい穴をあけ直します。
⑥『スペーサー』と『ローレットノブ段付きタイプ』を取り付けて完成!
『スペーサー』は試行錯誤中ですが、写真はゴム素材で傾斜対応+ポリスライダーで滑らせる発想です。1号機では2mm厚のPTFEを使っています。
上駒
調弦安定性向上のため、上駒にも糸道を付けています。デメリットは現状無いと思っていますが?
以前、藤井黎元先生がTwitterで紹介されていた富士松亀三郎先生の『三味線の知識/邦楽発生法』を購入して読みました。
初版は昭和39年 古本で入手しましたが31版平成21年 現在でも購入可能です。是非読んでみてください。津軽三味線についてではありませんがかなり参考になります。
この本にちょっとしたヒントに思える記述がありました。
『上駒の種類』『上駒はなぜ必要か』と言う項に
(一部引用)折返し上駒は金物の中が空洞ですが、足付き上駒のほうは今も云うように棒状でムクのため、音の反響に若干の難があるように感じます。(省略)私は棒状の裏をやはり空洞にすべきだと存じます。
との記述がありました。なるほど、長唄などの三味線は鈴の様なリンとした音ですから『折返し上駒』が好まれる理由は何となくイメージできます。
津軽三味線はそれとは音のイメージも違いますし、そもそも『東サワリ』の為、1の糸には糸道がありますから空洞の無い『足付き上駒』が使われます。
すなわち、『折返し上駒』では糸道をつけると穴が空いてしまうので付けられなかった。と言う解釈は飛躍しすぎでしょうか?
いずれにしても津軽三味線はムク材の上駒ですから糸道は付けられる訳です。なぜ付けないのでしょうか?ご存じの方がおられたらご教授をお願いします。
私はあったほうが良いので付けます。
①傷をつけないようにマスキング
②ギター用のナットファイルで溝を切ります。最初から太い溝を切ろうとするとズレやすいので細いヤスリから始めます。
③#2000程度の耐水ペーパーで周辺をなめらかにする。完成!
ちなみに溝を切る位置は3の糸は少し2の糸側に寄せています。理由は『ハジキ』のしやすさです。似たような内容が前出の本にも記載があります。
音緒
1号機では『ハード音緒』を使っていますが、今回は自作&胴直付けしてみました。
材料はアコースティックギターのブリッジ製作用の縞黒檀です。ギターワークスさんで購入できます。ブリッジ材 https://www.guitarworks.jp/fs/guitar/c/wood05
①設計 こんな感じ!
②裁断 のこぎりでサイズにカット 硬いので大変!
③ボール盤と卓上フライス盤で加工 その後、穴や角はヤスリでなめらかに!
④胴の接触面を紙やすりでR付け
⑤胴に穴あけ
⑥スタッドボルト埋め込み
⑦音緒取り付けて完成!
問題発覚!
音緒に糸を通したときに胴掛け紐が邪魔で通しにくい!
そこで設計変更
と設計が終わった段階で気がついてしまった!
胴掛け紐って必要?
胴掛け
胴掛けって固定できれば良いんだよね?ってことでコレ
100均で買ってきました。ファスナーテープ
胴掛け裏と胴にペタッ!
で完成!ハイ、スッキリ!
まだ、やっていないけど胴掛けも新調しようかと…未塗装胴掛けを優宝さんから購入
亜鉛スプレーやってみます。
ストラップ
既に写真でお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、穴開けついでにストラップピンも付けてみました。
ストラップピンはギターの部品で手持ちがあったのでそれを付けましたが、サウンドハウスさんやお近くの楽器屋さんでも入手できます。
エンドピンクッションというストラップピンと胴の間に挟むクッションも入れたほうが良いです。
エンドピンクッション(2個セット)エンドピンとボディーの間に挟む緩衝材です
ピンの位置はいつもタイムリーな藤井黎元先生の動画をどうぞ!
藤井黎元先生の三味線にはロックピンが付いています。多分SCHALLER製です。
(サウンドハウスさんの商品説明引用)ストラップロックピン・セットは楽器に取付けるストラップロックシステム・ボタンとネジ、ストラップ側に付けるストラップロックシステム・アタッチメントの組み合わせです。アタッチメントは2つ用意されています。
このタイプは私もギターで使っていましたが、使っているうちにストラップ側のナットが緩んでしまいステージ上でギターを落としそうになった経験があります。
それ以来、全てのギターを↓のJIM DUNLOP製タイプに交換しました。ストラップの着脱はボタンを押すだけなのでおすすめです。
しかし、最近ではもっと単純に安くゴムをはめるだけの商品がありますので、今回はコレにします。
FENDERストラップブロック(ストラップラバー)は、ステージでの演奏やスタジオ練習など、演奏中にストラップが外れることによる楽器の落下を防ぐのに最適なSTRAP BLOCKS。ゴム素材でできており、簡単に楽器への着脱が可能です。ブラックとレッドの2色セット。
ストラップはギター用の好きなものを選べば良いのですが、安価でカラーバリエーションが豊富、長さ調整も容易なギターストラップの大定番ERNIE BALL / 40**シリーズがおすすめです。
エリッククラプトンをはじめ多くのミュージシャンが愛用するギターストラップの超定番ERNIEBALL /!4037 POLYPRO STRAPS Blackカラー。デルリン素材のスライド式アジャスターで瞬時に長さの調節が可能なストラップです!
ストラップを付けて気がついたこと
- 胴がお腹に接触するので裏革の響きがミュートされる。→立って弾くのがメインならば裏革は革である必要性は無いのではないか?
- 棹が下がってしまう。(ギターで言う『ヘッド落ち』)→三味線の重心は棹の『16のツボ』辺りなのでどうしても避けられない様だ。常に右腕で胴を抑えておく必要がある。何か方法を考えたい!
- 打面が垂直になるので棹を抑える指及び指板は見えなくなる。
- 打面が垂直になるので撥の当たる角度が変わる。
2~3は私の現状の課題『構えの安定性』と『撥打ち 手首の角度』の改善に対してヒントになりそうな内容なので、立って弾く練習もやってみようと思います。
あっ、そうそう!肝心の音ですが、音緒の影響が大きい様でかなりシャープな音です。調弦の安定性は抜群!
いづれ音響分析的な事や糸の伸びに関する実験などもやってみたいと思います。
それではまた!
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