津軽三味線入門【準備編】-5 三味線を購入する。

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さぁ!いよいよ三味線を入手しましょう。先生や先輩、三味線屋さんに相談するのも良いでしょう。近くに三味線屋さんが有るのなら、教室紹介も含めて相談に行くのも良いかも知れません。

ここで再度、注意点です。所属する教室、流派によっては細かい指定がある場合もあるようですので(うちは無いですが…)教室選びの際、確認しておく必要があります。後で買い直すのは最悪ですからね!

『三味線』購入といえば、今でも『オーダーメイド』がメインです。ギターなどの様に『メーカー製』で店に『吊るし』で置いてあるのはかなり少ないです。

ギターでもそうですが『オーダーメイド』となると『出来てみないと音はわからない!』訳ですから店や職人さんを信頼に対して数十万~数百万の金額を払うことになります。

その結果、『良いもの』が出来たとしても『自分に合うか?』『気にいるか?』は別の問題になってしまいます。

できれば現物を『気に入って』購入したいところです。最近では(新品・中古品問わず)『吊るし』を店に置く三味線屋さんも増えてきて、試奏して購入することもできるようになってきた様です。

とは言っても、これからはじめる人にとっては現物を触っても『どうすればいいの?』ってことですよね。

現状、ギターの様に『このデザインが好き!』『このメーカーのギターが欲しい!』『このギタリストと同じギターが欲しい!』『予算は1万円しか無い!』みたいな様々な要望に対して選択できるほどの市場は有りません。

そこで最大の選択!『人(先生や先輩、三味線屋さん)に委ねるか?』『自力でなんとかするか?』

私は先生を含む諸先輩方や三味線屋さんと出会う前に『津軽三味線が欲しい!』の一心でスタートしましたので、自動的に後者でした。その経験や失敗を踏まえてまとめていきます。

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津軽三味線の値段

まずは↓の記事で『津軽三味線』の他の三味線との違いを理解していただいき、且つ『津軽三味線』を購入する前提で『津軽三味線』の価格の違いと相場についてです。

まずは新品の津軽三味線を購入しようとした場合、最も安いものはメーカー(総合卸商)である『にちわ』さん(日本和楽器製造株式会社)

津軽三味線 初級セットST2    \68,000 (花梨延棹)http://www.nichiwagakki.co.jp/catalog/thumb_pdf/shamisen.pdf

でしょうか? 同じくメーカーである『SUZUKI』さん(株式会社 鈴木楽器製作所)の津軽三味線セット ききょう MS-10L \128,000 は私が示した津軽三味線基準を満たしておりません。『初心者用津軽三味線』で検索するとST2以外ほぼ全滅です。ギターなどに比べると高いですね!

価格に最も影響があるのは棹です。安いものから並べると

花梨延棹 < 花梨平枘 < 花梨段枘 < 紅木段枘 < 紅木二段枘 < 紅木金枘

※枘(ホゾ)→一般的に『細』と書かれていますが間違えです。(小松屋さんTwitterより)

この途中に『トチ花梨』や『紫檀』などもありますが流通量がそう多くないので省略します。『紫檀』はギターを知っている人ならおなじみの『ローズウッド』です。ちなみに糸巻きの『黒檀』は『エボニー』ね!

左が『花梨』 右が『紅木』
左から『平枘』『段枘(一段枘)』『二段枘』
枘穴に金枠が埋め込まれた『金枘』

上の写真は『金枘』ではあるんだけど、『段溝』なところを見る(本来なら『二段溝』)と『なんちゃって金枘』です。『金枘』加工自体は注文すれば(後からでも)10万円程度で入れられるので『金枘』ってだけで良いとは限りません。

『花梨』『紅木』共に『トチ』が入っていると高価になり、また。『トチ』の入り方でも値段が変わるようです。いわゆる『レスポール』メイプルトップのアレと同じです。

『紅木』を切ってみるとわかるのですが、基本的には物凄く硬く『金属』や『樹脂』の様な切り口です。しかし、時々白っぽい箇所が固まってあり、そこは柔らかいです。なので、『トチ紅木』=『霜降り肉』って感じなのかな?

『紅木』の切断面

『紅木』でも軽いものは『脂身が多く』、『トチ無し』の重いものは『赤身』だけ。バランスの良い『霜降り』が一番良い。ってことかな?

職人さんが木を見てレベル判定して、ある一定の木は『良い木だから金枘にしよう!』ってのが『良い木→金枘→音が良い=高価』って事らしいが『金枘=音が良い』の根拠は無いようです。

値段の話に戻りますが一番安い花梨延棹でリンドウ金具が付いたものはST2以外に見たことがありません。最上位の紅木金細は30万~400万以上と幅広く、トチや重さなどで値段が変わるようです。

他の要素でも価格は変わりますが棹に対して見合うレベルのものが付いていると判断すれば間違いないようです。

  胴…丸打胴 < 綾杉胴 < 子持綾杉胴

  東サワリ…丸 < 角

  糸巻き…黒檀 = 樹脂 < 象牙

  金具…GP22(金メッキ)< K9 < K18など

胴の内側がツルッとしている『丸打胴』
胴の内側にギザギザ加工がある『綾杉胴』

『綾杉胴』も『金枘』同様に、音が良い根拠はハッキリしていないようですが、職人さんの感覚で良い木(金枘レベル)に綾杉加工をしているので 『良い木→綾杉胴→音が良い=高価』って事です。

詳しい金額は『にちわ』さんのサイトで材料から修理費までのほとんどの金額がわかります。 http://www.nichiwagakki.co.jp/

オークションについて

リスクを伴いますので『オススメ』する訳ではございません。この記事は私の体験に基づくものであり、保証できる内容ではございませんのでその旨をご了承ください。

私自身、何の知識もなく『ヤフオク』『メルカリ』に手を出したため、『津軽三味線』との出品タイトルだけで4本ほど『なんちゃって津軽三味線』の中棹を掴まされました。それらは全て修復して使える状態にして『中棹』として売却しました。破れた革も張り直したりで費用は掛かりましたが結果トントンで売却できましたので、自分で行った修復分は『経験』と『学習』という事で納得しています。

結局、今まで20本ほど取引をして、自分用は現状では充分に満足できるレベルの三味線を手にしています。落札価格6万円以上に手を出していません。入手した複数本は先生や兄弟弟子の手に渡っています。

現在も3年近く『ヤフオク』をチェックしていますので、そこで気がついたことをまとめます。

『津軽三味線』に騙されるな!

まず、出品タイトルの『津軽三味線』を信用してはいけません。『津軽三味線』と他の三味線では人気が圧倒的に違い、落札価格も全然違います。(津軽が高い。)

そのため、意図的に出品タイトルに『津軽三味線』や『津軽』と入れている出品者が多く存在します。

まぁ、文中決り文句で『当方は三味線に詳しくないので写真で判断してください。』などの逃げは作られています。

『津軽三味線』と称して違うものを売ろうとする輩がいる反面、三味線の知識が全く無く『津軽三味線』を『三味線』とだけ記載して出品する人もいます。『津軽三味線』を探している人にとっては盲点になっていて入札者が少ないこともあります。

出品される『津軽三味線』分類傾向

落札価格傾向から大きく3つに分類できます。

  • 花梨棹    とにかく安い三味線入手を頼まれない限り入札しない。
  • 紅木棹丸打胴 実用
  • 紅木棹綾杉胴 入手できればラッキー

約3年間の落札ライン

時期によって変動します。

ここ半年(2019年8月28日時点)の傾向として『紅木棹綾杉胴』が私的標準落札ラインの2倍程度で取引されている状況です。その反面、それ以外は入手しやすいです。

過去3年間では、高騰期=はじめた人が多かった?(私が最初に買った頃)、安定期=業者?っぽい入札者が多かった、停滞期=全体の出品数が少ない、そして現在、綾杉高騰期=高騰期にはじめた人が2本目を?

私的落札ラインは上記、安定期の相場にほぼイコールです。ズバリ新品購入時の1/10!

オークションなどはほとんど皮が破れているか。古くなって緩んでいるので、使う場合は皮を張り替える費用が必要です。ざっくりと『花梨棹』は安い合皮で\30,000、『紅木棹』犬皮またはリプルで\60,000 それを踏まえて平均落札価格は 『花梨棹』 \15,000 『紅木棹丸打胴』\30,000 『紅木棹綾杉胴』\60,000 これを基準に他の要素を見ながら入札金額を増減させています。

『天神欠け』(2019/9/6追記)

基本的に避けたほうが無難です。

自力で直せないことは有りません。音に大きな影響が有るとも思いません。

それより問題なことは『天神が欠けている。』という事は倒したり、落とした可能性が大きいということです。それにより見た目にわからない(写真ではわからない)レベルで『棹にヒビが入っている。』可能性が非常に高く。こちらが音にとって大きな影響があります。

もちろん『棹のヒビ』も直せない事もありません。

いずれにしても『三味線屋さん』で直そうとすれば、それなりに掛かるでしょうし、音も保証出来ません。

それでも、チャレンジして直したものが今では先生の元に渡っています。

過信は禁物!

ここまで偉そうに書きながらも、つい先日、『なんちゃって津軽三味線』に入札してしまい。すぐに気がついたので質問欄から『入札取り消し』依頼をして『出品者の善意で』事なきを得ました。

写真や文面だけで見極めるのは不可能です。

これは三味線屋さんでも無理でしょう。

ですから、すぐに満足できるものが手に入ると思っては駄目です。手に入ったら『ラッキー』と思いましょう。

絶対に無理をするな!

楽器も人と同じで『出会い』だと考えましょう。貴方が出会うべき楽器は寄ってきます。(なんか宗教ぽいけど…)自分で想定した金額があるなら自動入札して放っておきましょう。落札できなくても『縁がなかった!』だけです。それでも巡ってくるものです。

あとは『あなた次第!』

結局は『自己責任』ですのでトライする方は頑張ってください。『ラッキー』に『出会う』事を心からお祈りいたします。

※無許可でリンクしている箇所があります。問題等ございましたらご連絡ください。

次回からは【はじめの一歩編】です。

サウンドハウス

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